天狗様は俺様です!


 そして翌日――。


「沢山 戒(サワヤマ カイ)だ。今日からよろしく」


 朝のSHRで三尾先生の隣に立つ男子生徒を見て、私は目をひん剥いた。

 その男子生徒の綺麗な容姿にクラスの女子がざわつく中、三尾先生が彼の紹介を始める。



「沢山は訳あって急遽今日からこのクラスの仲間になる。皆で色々と教えてやれ」

 昨日と変らない淡々とした三尾先生の言葉が、右の耳から左の耳へ抜けていく。



 訳あって?

 っていうか、そいつ……。



 紛れも無く――カイでしょう!?


 服はこの学校の制服になっているし、どうやったかは分からないけど羽も消えている。

 でも、その顔はどう見てもカイだった。



 ソレを裏付けるかのように、彼は私と目が合うとニッと意味有り気に笑う。



 ああ……何てこと。

 色々あるけど学校では楽しく過ごせそうだと思っていたのに……。

 これからはカイも共に学校生活を送ることになるなんて……。



 私に平穏はいつ訪れるの!?



《第三話 妖狐先生 【完】》


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