*coffret a bijoux*(SS集)
あたしの背中に瑞樹クンの
厚い胸板が触れて、体が
ホワンと暖まるのがわかる。




「もう……
こんな狭いキッチンで
くっつかないでよ……」




ちょっと身じろぎして
そんなことを言ってみる
けど、ゼンゼン力のない
声だった。




もちろん、瑞樹クンも
離れてなんかくれない。



――口先だけの抵抗だって
完全に見抜かれてる。



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