*coffret a bijoux*(SS集)
不満をあらわに顔をしかめて、
瞬也は自分のデスクに歩み
寄ると、脱いだジャケットを
椅子にかける。


その姿が暑そうだったから、
あたしは麦茶を入れてあげ
ようと備え付けの冷蔵庫の
方へ歩きながら、


「それはわかってるけど。

だって何よ、いきなり――」


『デートに行こう』って。


そりゃ、奈々はもうあたし
達の関係知ってるし、恋人
兼ビジネスパートナーとして、
ごく順調なあたし達だけど。


「なぁにあんた達。

お客様の世話に明け暮れて、
相変わらず独り身のあたしに
対するあてつけ?」


_
< 205 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop