*coffret a bijoux*(SS集)
そして、日が傾き始め、
バーチャルデートも
終わろうかという頃。


気づくとあたしは、何だか
すごく複雑な気持ちになってた。


だって……なんて言えば
いいの、この気持ち。
うまく説明できないけど。



「……さてと。

今日はどうだった、美咲さん?」


駅に向かう帰り道を肩を
並べて歩きながら、瞬也が
聞いてくる。

まだ“さん”がついてる
から、演習モードだ。


「……すごく楽しかったですよ。

言うことないくらい」


考えてみれば、瞬也には
チェックなんて必要なかった。


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