*coffret a bijoux*(SS集)
わかってるけど、でも――
普段は見れない瞬也の
こんな顔をいくつも見たら、
どうしても小さなヤキモチが
チリチリした。


瞬也の今の恋人はあたし。


だけど瞬也はあたしには
見せないこういう顔を、
今もちゃんと隠し持ってて
――…。



「……どうしたの、暗い顔して。

何かつまらないことがあった?」


ふいに近い所から声が
聞こえて、あたしはハッと
顔をあげる。


瞬也が心配そうに眉を
ひそめ、体を屈めて
あたしを見下ろしてた。


「あ、べ、別に何も」


慌てて右手をブンブンと
振って答え、ついでに
腕時計で時間を確認して、


「ていうかそろそろ終わりで
いいんじゃない? 

オフィスにも一度戻った
方がいいだろうし」


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