【短編】クロスロード ~ェンジェル~アルバム~
「うわぁ!すっげぇ可愛い!」

急に飛び込んできた
男の子の声とともに、
数人の男の子たちが、
澄香の前に現れた。


見知らぬ男の子たちの出現に、びっくりして固まる澄香。

そして、
園長先生の後ろに隠れる。

「あらあら」

澄香の仕草に微笑み、

「ダメよ、怖がらせちゃ」

と、微笑みながら男の子たちをたしなめる園長先生。

平気な顔をして、
男の子たちは、
マジマジと澄香を見つめた。


「可愛い!お人形さんみたい!」


その声に、
さっきの声と同じと思い、この人が言ったのかと、澄香は、園長先生の陰から、その男の子を見つめた。


「お!俺を見てる?俺、修斗。碇 修斗」


そう言って、
男の子は、澄香に
右手を差し出した。

意味の理解できない澄香は、園長先生の陰から、ただただ男の子の行動をじっと見つめている。

そんな様子を見守りながら微笑む先生たち。

園長先生は、澄香に言った。

「澄香ちゃん、心配いらないわ。ご近所に住んでいる修斗くんたちよ。小学校二年生のお兄ちゃんたちよ。澄香ちゃんと仲良くなりたいのよ。ほら、握手」

園長先生が、澄香に促した。

園長先生の言葉に
少し安心した澄香。


「よろしく!」


爽やかな笑顔で右手を差し出す修斗。


澄香は、ゆっくりと
園長先生の陰から前に出ると、
ゆっくりと右手を差し出した。

笑顔とともに、
澄香の右手を握る修斗。

「良かったわねぇ澄香ちゃん。新しいお友達ができたわねぇ」

見守りながら微笑む先生たち。


澄香は、
修斗を見つめて、
握手を交した、
これが
修斗との
出会いだった。


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