おばあちゃんの思い出
紙に書かれていたのはおばあちゃんの得意料理
私の大好きな「あずきゆべし」のレシピ
丁寧におばあちゃんの字で書かれていた。

おばあちゃんのあずきゆべし
私にも、作れるかな…?


かっぽう着に着替えて台所に立つ。
テービルには、こしあんとお砂糖、
上新粉ともち米の粉。
そして大切な
おばあちゃんのレシピ。

こしあん、砂糖、上新粉、もち米粉の割合は
レシピに書いてある通り4:3:2:1
これが、おばあちゃんの味を作る黄金比なんだ

はかりなんていらない。
おばあちゃんは、いつもお椀を使って
分量を量ってた。

こしあんは普通の小豆を煮てこしたものを使う
きっちりしぼり、あとは水も何にも入れないで作る。
実はすごくシンプルなレシピ。

ここからは私も覚えている。
こしあん、砂糖、上新粉、もち米の粉を
全部一緒にしてこねる。
この感覚、
なんだかすごく懐かしい。
小さいときは力が足りなくて
仕上げにおばあちゃんにこねてもらってた。

ふかしたゆべしはもう一度こねてから巻く。
売ってるのは全部四角だけど
おばあちゃんのゆべしは丸くてかわいい

冷やしたりしないで、出来立てで食べるのが一番おいしい
これがおばあちゃんの味…

おばあちゃん
私、ひとりで作れたよ。
おばあちゃんには敵わないけど
それでもおいしく作れたよ。

ただ、おばあちゃんにも食べてほしかったな。
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