忘れな草の栞

高校






――ピピピッ、ピピピッ。



……、目覚まし止めなきゃ。



カチリと止めて、手が止まる。



「…嘘ぉん。真面目に?」



ただ今の時刻、午前8時10分ちょうど。
私が1ヶ月ほど前に入学した明鈴(めいりん)高校の遅刻は8時30分からで…………









私、木之里 真梨亜の家からは歩いて40分。
走って30分。
自転車で15分は最低でもかかる。




「ち、遅刻ぅ?!」


ど、どどどどうしよう!
なに冷静に、学校までの時間考えてんの?!!





ハンガーにかけてある制服を着る。
あ゛ー…、この際ボタンは放置の方向でっ!


リビングの扉をバタンと開ける。
ミチミチッって変な音が聞こえたのは気のせいだよね。
キッチンにいるお母さんに今の思いをぶつけよう!

さん、はい!



「お、お母さん!何で起こしてくれなかったの?!」


「あらぁ?お姉ちゃんが学校に行ったから、てっきり真梨亜も一緒に行ったと思ってたんだけどぉ…。」


「頼むから、マイペースなのはお母さんの頭の中だけにしてよぉ!!」



うちのお母さんはマイペースで、結構なドジである。

それに反して、我が家の大黒柱であるお父さんはしっかり者。
いろんな意味でお似合いな夫婦である。



程よく焼けたトースト1枚を食べながら、靴をはく。
自転車ならまだ間に合う、きっと!




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