この声が枯れるまで

残された私。
私は勇気を振り絞って、一歩踏み出した。



『よし!行け!』

教室に思い切り入ると、まず最初にゆかの顔が見えた。

『百合、おはよ』


ゆかは私を見て、手を振る。
私も手を振って、ゆかたちのいる場所へ向かう。

『ゆっゆか…おはよ!あと疾風君も!』


ゆかの隣にいる疾風君にも挨拶をして、素早く椅子に座る。


『百合?今日変やない?』


『そっそんな事ないない』


ゆかは鋭い。
私の異変にすぐ気づく。
『そうかな?』


『ないない…』


ゆかと私の会話を見ていたタクミ君は、笑っていた。


『タクミ何で笑ってるんだよ?』

それを見ていた疾風がタクミに聞く。


『いや?百合可愛いなって』



『ん~俺はゆかだな』



二人の会話を聞き流し、私はずっと前しか見れないでいた。
横には、光輝がいる…
私の心臓は、こんな速く動くなんて知らなかった。

一秒に3回くらいの速さで動いている気がした。

『百合ー百合?おーい?』


『え?』


私は声がした方に振り向く。
呼んだ人は隣のあなた。


『何回も呼んだんだけど?』



先ほどより、より速く鼓動鳴る。

頬が赤く染まっていくのが自分でも分かる。


『ごめん…おはよ』


光輝の瞳が見れなくて。どうしたの、あたし…
自分でも分からないよ…




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