この声が枯れるまで

私は光輝に連絡先を赤外線で送る。


『さんきゅ!』


眩しい笑顔。
私の頬は赤くなる一方だ。

『うん…』


『連絡するわ!』


『うん…』



少しだけ光輝との距離が縮まったと、
自惚れてもいいかな?
彼女に悪い…
でも、止められない。

昼からの授業中に、
ゆかから手紙が回ってきた。


《百合は告白せんの?》

こう可愛らしいメモ帳に書かれたゆかの字。
この手紙を見て、私はまた赤面しただろう。

間違いない。
後ろのゆかが笑っていたから。
私はゆかに小声で『しないよ!』と言った。


『何で?』


下を向いて黒板に書かれているものを写すゆか。私はペンをぎゅっと握る。


『こう…あっ…あいつには彼女いるんだよ?』


『でも百合の連絡先聞いたやん!それって気ぃある事じゃないん?』


『違うでしょ…』


『でも嫌いなやつには連絡先聞かへんやろ?普通!』


『う…うん』


『光輝君モテるから気ぃつけや?』



確かに、光輝はモテる。たくさんの人が光輝に話しかけていたのを見た事があったから。
でも光輝は相手にしていなかった。
光輝の笑顔が見れるのは、私だけ?

そう思えば思う程、
私は堕ちていった。

恋という、

まだ知らない大きな落とし穴へと。




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