この声が枯れるまで
~第四章・由来~

光輝との会話が途切れてしまった。
次に、口を開いたのは光輝の方だった。


『百合ってさ…』

『うん?』

『良い名前だよな。なんか…綺麗で』


『え…初めてそんな事言われたよ…』


好きな人に褒められると舞い上がってしまう。
これは人間なら必ずこうなるだろう。
嬉しすぎる…。


『良い名前だと思うよ?由来とかないの?』


『私も百合って名前気に入ってるんだ!由来は…聞いた事ないな…今度聞いてみよっかな…
パパとママに』


『うん…聞いてみろよ』


光輝は私を見つめて小さく微笑んだ。
光輝と目が合ってしまう。
照れはじめる私。
私はすぐ視線を逸らした。


『光輝は?由来あるの?』


『あるよ…』


『何…?』


光輝は真っ直ぐ夕日を見て、話し始めた。


『いつも光みたいに輝いているように。だから光輝』


『す…ごいね…かっこいい名前』


『さんきゅ!』


《光みたいに輝いているように》


光輝は名前の通り、かっこよくて、今は私の光。私の中で光みたいに輝いている。
一生この光が消えない事を願った。



『光輝!明日から普通にしてよね!約束ね!』


『百合もな!』



『うん!じゃあね!』


私は来た道を戻る。
光輝はこの時なにを思っていたのかな?


それと気になること一つ。

私の由来は何だろう?




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