鬼ごっこ~歪む恋心の行く末~【fin】
コミカルなリズムの音楽。
すぐにその音楽は途絶え、
慶悟の声が聞こえた。
『真樋か?!』
「ああ。」
『真唯は?』
「ダメだ。完全に乗っ取られている。」
『誰に?!』
「卒業式の日に死んだ、
一之瀬黒百合。」
『……っ?!』
同じ中学だった慶悟は
ただただ絶句するのみだった。
『嘘だろ?』
「嘘じゃない。
現にあいつは真唯の体を乗っ取って、
お前らを追っている。
速く逃げろ。
あいつ、めっちゃ足速い。」
『流石元陸上部。』
敬語のその軽口は
緊張をほぐすためだろうか。
あまり意味はなかった。