迷える子羊×不器用男子

「お前さ…話きいてんのか?」
『は?誰の?』
「教師のに決まってんだろ」
『うん。聞いてるよ?』
「じゃ、実験よろしくな」

悪魔のような笑みを浮かべて笑う逢坂。

「実験は隣の人とペアで微生物の観察です。顕微鏡を準備して」


「顕微鏡持って来い」

フツ―ここは男が持ってくるんじゃないの?
あれ結構重いよね!!!!!?

仕方なく持ってこようと顕微鏡が置いてある準備室へと向かう。

「真柚ッ!!!」
『あッ!健吾!』
「真柚も理科だったんだ!」
『健吾も顕微鏡持って来るんでしょ?』
「おぅ」
『やっぱりココは男の子が持ってくるはずだよね~』
「まぁな。お前ペアのヤツ誰?」
『あ~。逢坂光樹。めっちゃドSで困るんだよね』
「へぇ…」


「おいっ!早くしろよ!」
あたしが健吾に愚痴を漏らしていると、後ろから逢坂の声が聞こえた。

『今行きますよーだ。じゃバイバイ健吾♪』

顕微鏡を持ってダッシュで理科室へ戻ろうとした。
その時、顕微鏡を落としてしまった。

落ちた顕微鏡は、あたしの足へ落ちた。

『痛ッ~!!』

何かの破片が刺さったのか血がにじんでいる。

『ダッサ…』

自分で立ち上がろうと足を動かそうとした。

「気をつけろよ」
『キャッ…なにすんのよッ』

――逢坂…――
お姫様抱っこをされたまま、保健室に連れてかれた。

『ちょっと!授業は!!?』
「よくね?別によ」
『先生怒ってるよ!』
「…」

逢坂は黙ったまま。

「なぁ…」
『ん?』
「健吾ってやつとヨリ戻したの?」

えっ…。
あたしは、いきなりの質問に戸惑ってしまった。
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