恋愛温度、上昇中!
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やっぱり、ドレスには馴染まないでもいつも履くローヒールのパンプスにするべきだった。
慣れないピンヒールに躓きそうだし、何より足が痛い。

「先に行ってて」

場所は分かるから、と祥子に伝える。「了解」と祥子が何故かニヤリと笑った。


トイレに入って、鏡の前で息をつく。眼鏡が無いとやっぱり落ち着かないし、ドレス姿は更に疲れる。
アーモンドトゥのパンプスを脱いで爪先をゆっくり上下に動かせた。
案の定、新品のパンプスはあたしの踵と足の甲を見事に痛々しく擦れさせてはっきりと赤めている。

それを見ながら、溜息を落とす。


慣れない事だらけに、意外な状況で必要以上に疲れた。


切り揃えられた前髪のように、感情も切ってしまえば、また再生するのかしら、と笑う。彰俊との再会は、意味を持つのか持たないのか、今のあたしには分からない。



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