地獄からのメッセージ




遂にその時が来た。


最初の発火の後2分程で火災報知器が鳴り出した。


一瞬、お客どもがざわめき出したが、相変わらず、カードやルーレットに夢中で動こうとはしない。


思った通りである。スタッフやディーラー達も

『心配ない、セキュリティーは万全だから』

と慌てる様子もない。


その後、数回に渡る火災警報により、心配に成ったスタッフ達が壁掛けの館内電話で何やら話し合っている。


しかし、悪戯と判り、笑いながらもこちらに戻ってきたが、すぐに相変わらずのポーカーフェイスに戻っている。


時計をチラッと見た。


もう直ぐ12時45分だ。


とその時、慌てて数人のスタッフが集まって話しをしだした。


そして慌てて地下二階のカジノに居るお客達に向けて英語とタイ語で、


{火災が発生していて消火活動を行う為、本日の営業は終了させて頂きます!}


と言う内容の事を大声で叫びだした。


一斉にゲームを楽しんでいたお客達がゾロゾロと不満そうに出口へ向いだした。


スタッフ達が誘導を始め、ガードマン風の用心棒達は両替所に向い始めた。


俺は直ぐに出て行く振りをしながら、ばれないように横のトイレの中に滑り込んだ。


そして暫く様子を見ていたが、スタッフ達がレシーバーで何やら会話を交わした後、出て行くのをトイレの隙間から確認してから一気に両替所の方に歩み寄った。


先程のガードマンは、両替商の中で、現金をトランクに詰め替えている所である。


背後が全く無防備なのが笑えたが、こっちもノンビリしていられない。


すぐさま、ガードマンの腰にぶら下がっている金属製の伸び縮み式の警棒を抜き取り、右側の方のガードマンを一気に殴り倒した。


そして、左側の男が驚愕のあまり、パセド-病患者の様に目を見開いて振り返った瞬間に男の脳天に警防が食い込んだ。


先程の男は倒れこんだままで、ピクリともしないが、左側の男は倒れこんで口から血を流し、耳からも血が流れている。


痙攣を起こしながら暫くして動かなくなった。



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