桜空2

稽古場に向かっている途中、ふいに海が私の方を見つめてきた。



「ねぇ、桜…それって…」



海は自分の首元をトントンと指差した。



「え?」



私は自分の首元を見た。



あっ……!!



そこにあったのは。



空に付けられたキスマークだった


「ふ〜ん…。あんた達やっぱりやることやってるわねぇ♪」



海がトン!!と肩を叩いてきた。



「なっ…そんなことないよっ!!」



私は慌てて否定した。



海は面白そうに笑っている。



「ったく…ほんとラブラブね!!あんた達は!!」



海は冷やかすように言った。



「もぉ〜!!」



私は困った様な声で言った。



――道場。



「お願いしまーす」



ガラッと音を立てて開いた扉。



「あーっ!!姫様だ!!」



「おひさしぶりです姫様ーっ!!」



「あら、あなた達久しぶりね!!」



そこにいたのは以前、私が殺陣を見せた、江戸城使用人の子供達だった。



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