唇を塞いで



どこかで会った?


「ゆっくりしていって構わないからね」


やっぱり勘違い?


「ねぇ、京。あたしお父さんに会ったことある」


「買い物とか?この病院で診てもらったとか?」


「違う…もっと…深い、何かで…」


この時のあたしにはまったくわからなかった


だって…すっかり記憶から消えていた
違う。消したんだ…




京のお母さんからご飯を食べようと言われたけど、断って帰ってきた


胸のつかえが取れないのは何で?

これが、最初の違和感。
これが始まりだなんて、思わなかった





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