唇を塞いで



後ろから抱き締められた



「詩希……そのまま聞いて。
オレ、やっぱり詩希を忘れるなんてできねーよ。
本当は行くなって言いたい。
でもオレ待ってる。
お腹の子の父親になる。
詩希……」



「京……ありがと……大好き」


あたしは後ろを振り向かずに走った


お父さんがいるところまで泣きながら走った



「おと……さんっ……」


「詩希、お父さんはやっぱり詩希の幸せが一番だと思う。
詩希はお父さんの大事な娘だからな」


「お父さん?」





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