【企】携帯水没物語






「……里奈」


陽人さんが去っていったベンチでわたしは呟く。

もう声も手紙もメールも届かなくなってしまった愛しい人に。


「……わたし、愛されてるんだって」


お母さんも

陽人さんも

里奈も

万里子も

先生も

みんな全部大事にしてくれてた


「里奈も……里奈も愛されてたんだよ」

「わたしは里奈が大事だよ」


………―なんで

なんで死んじゃったの



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