君だけmyhoney
転校生

ピピピ…。

「ヤバい!!寝坊しちゃった!」
アタシは急いで洗面所に走った。
「あーあ…寝癖たってるし…」
急いで髪をといて制服に着替えた。
「耶々!急ぎなさい!!」
「分かってるよ!」
ママの言葉さえもあたしには届かない。

成瀬耶々。普通の高2の女の子。
瀬谷学園に通ってる。
「行って来ます!」
「気をつけてね」

今日から新学期。初日に寝坊するのは癖。
チャリを飛ばしてやっとのことで学園に着いた。
「じゃあ通知表を前に持ってこい」
間に合った…。

「成瀬ー!また遅刻か?」
「ち…違います」
「嘘つけ」
担任の木田はうるさくて面倒くさい。
「耶々、遅刻しすぎでしょ。」
私をからかっているのは親友の姫夏。
「遅刻じゃないの。寝坊だよ」
「同じことじゃん」
「言い方が違うから違うの」
「耶々はいちいち面倒くさいわ」
姫夏まで…酷いよ。 「はいよく聞け。今日は転校生が来てます。入れ」
ドアから入ってきたのは黒ブチメガネをかけたいかにも秀才というような子だった。
「新しい仲間の矢吹爽也くんだ。仲良くするんだぞ」
「よろしく」
黒ブチメガネはニコと笑った。
今見ると美男子だ。パッチリとした二重の目、高い鼻、ピンクの唇。
すべてを誘惑してしまいそうな…
「矢吹は耶々の隣な!」
すると黒ブチメガネはアタシの隣に座った。
「成瀬さんよろしくね」
「アタシの名前…」
「クラスの人の名前は一通り覚えたんだ」
「そうなんだあ」
黒ブチメガネはニコーと笑っている。

―――昼休み。
「ねえ耶々!」
「なにー?」
「矢吹くんってかっこよくない?」
「は?」
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