ハネノネ

僕は倒れているナキにゆっくりと歩み寄った。


あの時と同じように顔をのぞき込むと、やっぱり端正な顔立ちで


こんなに小さな少女が、この星をここまで滅ぼしたのかと思うと、いたたまれなくなる。

ナキが今までどんな思いでハネを降らし続け、たくさんの人を殺めてきたのか。


ちっぽけな僕には、彼女を救うためにできることなど、何一つないのに。




「びっくりしたの」




突然、ナキの声が聞こえてきた。

ナキは倒れた状態のまま、僕を見上げている。



「ユウヤにだけ、聞いてほしい話だったから」



つい先ほどのことだ。

確かに、ナキにとっては一大決心の告白だったから、他人に聞かれたと思えば動揺するのも無理はない。



「ユウヤもマリナも、びっくりしたよね。ごめんなさい」


「いや…俺こそ、無神経でごめん」



沈黙が流れた。

聞きたいことは山ほどあるはずなのに、なかなか言葉になって出てこない。

出てきたとしても、また先ほどのようにナキを刺激して動揺させてしまうわけにもいかない。


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