ハネノネ

ユウイチ




「顔を見たときに、すぐわかった。ユウヤは、ユウイチに少し似てる」



父さんは、仕事で海外に行ってると聞いていた。


まさか宇宙まで行ってるとは夢にも思っていなかった。

多分、“宇宙に行く”と言ったら主に姉の方が騒ぎそうだから黙っていたのだろう。


姉は、ナキの存在を聞いてワクチンも打たずにすぐさまナキのところに駆けつける父に似て、未知の世界には常に興味津々だ。




「ワクチンのおかげでわたしは、外に出ることが許されたけど、ワクチンは完全なものではなかった。あくまで発症率を格段に下げるだけなの。だからもしも発症した時のために、病の進行を遅らせる薬を持たされた。わたしはそれを、あの男の人に使った。」




コウスケのことだ。


本来ならすぐにふたり同じところに行けるはずだったのに、

恋人が死んで嘆いているところに出会ってしまったことが、コウスケをあそこまで苦しめる結果になったとは。



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