王子様の甘い誘惑【完】
「……――あっ……」
その声の主を確認しようと振り返った途端、思わず口から声が漏れた。
視線の先に立っている背の高い細身の男の子。
……――カッコイイ。
あたしはその男の子に、一瞬で目を奪われた。
ミルクティー色の長いサラサラの髪。
耳のあちこちについているシルバーのピアス。
はだけた胸元に輝くネックレス。
吸い込まれそうなほど茶色い瞳。
高い鼻に薄い唇。中世的な顔立ちをした男の子。
それはまるで、リアルに王子様だった。