王子様の甘い誘惑【完】
「……――蓮!?」
蓮が戻ってきたくれたんだ!!
思わずパッと顔を上げて振り返る。
「蓮じゃなくてごめんね」
「……ユキ……先輩……?」
だけど、あたしの肩を叩いたのは不思議そうな表情を浮かべたユキ先輩だった。
「どうしたの?暗い顔して。何かあった?」
ユキ先輩は隣に腰を下ろすと、あたしの顔を覗き込んだ。
……ユキ先輩なら……蓮と愛子さんのことを知っているかもしれない。
前に、蓮とユキ先輩は小学生からの腐れ縁だって言っていたから。
「蓮の元カノのこと……教えてもらえませんか?」
あたしの口からは、自然とそんな言葉が零れ落ちていた。