Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~


「ボーカル?」


「あぁ。」


ずっと、思ってたんだが、このバンド部にはボーカルがいない。

なんでいねぇんだよっつーツッコミは置いといて…
とにかくバンドでボーカルがいないのはヤバイッ!


「奏楽がすればいいじゃん。
ギターボーカルとか、カッコいいしっ!」


と、花音。
花音の提案は最もだけど…


「俺…すっげぇオンチなこと、花音知ってるだろ?」


そ、俺は超がつくほどのオンチだ。

カラオケで60点でれば奇跡ってくらいだ。


「あ~そうだったね。
んじゃ、謡は?
ベースボーカルってのもいいんじゃない?」


「俺…歌…自身ない…」


そーなんだよなぁ。
謡、歌下手ってわけじゃねぇけど、微妙っつーか…
キーボードとかドラムが歌うのも、場所的に無理あるし…


「誰か、歌うまいやつメンバーに加えようぜ。」


「そだね~
じゃぁ、歌うまい子居たら誘っといてっ!」


「オッケーっ!」


「…賛成…」


「んじゃ、取り敢えず今日は部活終わり!
俺教室に忘れ物したから取りに行ってくるわ。」


筆箱忘れたんだよな。


「ぇ、ちょっと奏楽ーっ!」


そんな花音の言葉を無視して、
俺は教室へ走った。



**********


ガラッ

俺は教室に入るなり、自分の席に向かう。

「あった、あった。」

机の上におきっぱだった。


…筆箱を取って、教室から出た瞬間…

「♪〜♪♪〜♯〜…」

隣の教室から、すごく…すごく、綺麗な声が聞こえた。

「…誰か、いるのか?」

俺は、隣の教室のドアを開けた。

ガラッ…


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