Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~


「芸能界デビュー…」


こんな私に、そんな事できるのかな…。

っていうか、絶対無理だよね。


私にできるわけない。


人前で喋ることさえ苦手な私が…人前で歌うなんて…。
歌手になりたいって思うのも…歌が好きなだけで、歌に自信なんてないのに。

やっぱり、無理だよ、私には。


「ボーカル、やってくんね?
まぢで、やってくれたら助かるんだけど。」


断りにくいけど、断らなきゃ…ダメだよね。


「ぁ、の…ゃゃやっぱり私には…無理というか…」


「あ~ダメダメっ!
頼むから、もぅ一生のお願いっ」


ゔぅ…
しつこい人だぁ…。


「俺、お前に入って欲しいんだよ!
お前の歌聞いて、すんげぇいいって思ったし、
歌ってるお前は、もぅ…美歌自身が輝いてて…
そんな歌声持ってるのに、誰にも見せねェなんてもったいねぇよっ!」


どうしよう…すっごく嬉しい…!
お世辞だと思うけど。

でも、そんな風に言ってもらえたの初めてで…


「じゃ、じゃぁ…とりあえず見学とか…ってでき…ますか?」


ちょっと、翡翠くんの部活に、興味が出てきた。
なにより、翡翠くんが、いい人なんだなって思ったから、見学してみる気に成った。


「まぢかよっ!
見学?!
してくれ、見学!」


「ぁ、は…はぃ…」


翡翠くんは私の手を握ってぴょんぴょん跳ねてる。


「んじゃ明日から放課後音楽室に来いよなっ!
俺達毎日音楽室で練習してっから。
んじゃなぁー!」


私に向かって笑顔でぶんぶんと手をふっている、翡翠くん。


「ぁ、はぃ…
バイバイ…です。」


私も笑顔で手を振り返した。

翡翠くんが見えなくなってからも、
私はもう一度…




昨日作曲したばかりの歌を、心をこめて歌ったー…



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