――Rain
カチャリと音を立てて
寝室からリビングへの扉を開く

ぼんやり、白い影

お気に入りのソファーだったからか
それが鈴だとすぐに分かった


「………っく」


鈴だとすぐに分かったが
この声が鈴のものだとは到底信じられそうになかった

泣き声、に聞こえたからだ


何故か声をかけることが出来ずに
鈴の元へ近寄った

足音を近寄らせても拒絶の言葉は聞こえなかった
時計の音が聞こえる
自分の心臓の動く音がやかましい


闇に幾分慣れた目で
鈴の姿を捉える

ジーンズに白いシャツが一枚
眠っているようで瞳は閉ざされていた
肩で呼吸をしながら、泣いている

辛そうに眉をひそめ
よく見ると体中には汗が滲んでいる

「…鈴」

名前を小さく呼んでみた

長い睫毛が月明かりを背に影を作る
たっぷりと濡れて、頬まで伝っていた

鈴の浅い息が荒く続く
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