火星より愛を込めて
「うるせえ、向こうから仕掛けてきたんだ!」

 マックは、ニュースを消すと、キムに向き直った。

「ところで、連中の割り出しは?」

「それがなかなかね、やっぱり、車種と装備だけってのじゃ難しいと思うけど。にしても、最初の手榴弾、B・180って本当?」

「間違いない、あのパワー、あの音、形大きさ色艶、EIG社製対戦車手榴弾B・180だ。昔あれで初代のクーガーを吹っ飛ばされたことがある。忘れるもんか」

 よっぽど根が深いらしい。

 キムは、肩をすくめて続けた。

「でも、こういった手口で、今回に関係していそうな企業がらみとなると、やっぱり……」

「EIGか」

「そう、街中で堂々と手榴弾投げて、パルスレーザーなんかぶっぱなす企業なんてあんまり無いからね。もちろん、別の線も考えられるから特定は出来ないけど」

「ふむ」

 複合企業体EIG、数ある巨大企業の中において、特に急進的な企業であり、余り表には出ないものの、そのライバル企業に対する攻撃は過激であり、その戦闘能力、情報収集能力は、一国家をも凌駕すると言われていた。

 であるから、企業が〈何でも屋〉を雇うときは、大概EIGがらみであった。
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