ツインテールの呪縛



『ちー』。



その単語と、今の颯太の笑顔が頭の中で反響して反射して頭がいっぱいになった。

あたしは呆然と立ち尽くした。




「元気?また頑張りすぎて熱とか出してない?」


「最近は、大丈夫。でもまだまだだもん、もっとがんばらなきゃ」



「そっか。

やっぱり、ちーはすごいよ」


心から、と分かる声音で颯太が言ったのが分かった。


ふと『ちさき』さんを見ると、カァァと顔を赤くしていた。


でも、なぜか嬉しそうではない。

むしろ傷付いた、といった方が腑に落ちる。



「……ねえ、歯科大の応募、そっちの学校でもあったよね…」


「うん。たしか…」



「颯太も、行くよね……?」




慎重に、同意を求める『ちさき』さんの視線を追ってあたしも颯太を見る。





「_____うん………」




颯太の顔が、また、少しゆがんで困ったような微妙な表情になった。







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