ダークエンジェル

ただでさえショックが大きく、

頭が空転しているようなリュウ、

その頭に感じた事を衝動的に口にしている。



「カイルは美由紀を知っているの。

彼女は義母になったけど… 
彼女は怪しいんだ。
初めから騙していたんだ。
戸籍が無いんだよ。
子供たちも… 

僕も父さんも4年間一緒に暮らして来たけど… 
父さんがこんな状態だから何も分からないけど… 

とにかく怪しいんだよ。」


「落ち着いて。
話し出せば長くなるから… 
他の機会に全てを話すよ。

ああ、美由紀は怪しい女だ。
なぜならば… 高倉氏に近づいたのは… 

最終的にはリュウ、君を殺そうとしていたんだからね。

だけど、君はなつかなかったんだろ。

それに、初めの目的はともかく、
途中から美由紀は高倉氏を本当に愛してしまったんだ。

にわか仕掛けで集めた孤児2人も含めての偽りの家庭だったが、

温かい高倉氏のオーラの中で、
幸せを夢見てしまったんだ。

息子にはいつも避けられていたようだが… 

彼女はそう言う君をも愛していたんだろう。

だから、初めの目的を完全に忘れてしまった。

いや、依頼した奴に断った。

そう、あの事故は… 
4年間も待っていた雇い主が逆上のあまり、
見境なく出した殺人命令だ。」



カイルの言葉はあまりにも不可解、

リュウは理解できなかったが… 
殺人命令とは… 
まるでスクリーンの中の話だ。



「それって… 
狙われたのは美由紀と言う事。
父さんは巻き添え。」


「なんと言うか… 
元々狙われていたのが君と… 
多分高倉氏もだったのだから。」



カイルは言葉を躊躇いながら、
それでもリュウの心に応じている。



「カイル、僕は何も分からないよ。

どうして僕や父さんが狙われるの。

そんな話、信じられないよ。
信じられるのは… 」



そう言って、
リュウは写真の中の母を食い入るように見つめている。
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