ダークエンジェル

そして、その死因は死因は心臓発作によるもの、と発表された。

が、翌日からアメリカでは、ハワード家の悲劇、と言う様な見だしで、

4年前に当主、ガクト・ハワードが82歳の誕生日に自然死、

半年前には跡を継いだ長男のドートンが原因の分からぬ不審死。

そして今度は3男のピクトル、ということで、

アメリカのマスコミは騒いでいたようだが、

国内ではただの小さなニュースでしかなかった。


確かに狙われているのは父さんだ、と感じたリュウは、

幸い夏休みに入っていると言う事で、

その日から父の隣にベッドを運んでもらい、

夜を一緒に過ごす事にした。


意識さえ戻れば話が聞けるのに… 

あんな事があったと言うのに、
父の容態に変化はなかった。

一人になると、リュウは相変わらず、

意識のない父を見ては涙が滲んでくる。


父さえいれば良い、と思ってきていたが、
こうなって来れば、

もっと沢山いろいろな話をしておけばよかった。

父が自分にしてくれた事だけが自分の全てのように感じていたが… 

こんなに分からない事ばかりでは、

子供として情けない。

もっと沢山の話をしていれば良かった。

父の愛情をただ受身の形で感じていただけ。

ソフィアと言う名前だけで… 

母がいないと言う哀しみ、寂しさはあったが、

父がいれば… 

わざわざ口にしてはいけないように思ってきた。

本当はもっと詳しく、
自分の母親のことなのだから… 

うるさい、と言われるほど聞けば良かった。


父の再婚話を聞いた時、

もっと反対して、母のことを言えば良かった。

そう、こうしていろいろ考えていると、

カイル、いや、ソフィアの名前が脳裏に浮かんでくるリュウだ。
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