スキトキメイテキス【BL】
 
「お前、コレが好きなんだろ?」

「……え?」

「……違うのか?」

「いや、あの……好き、ですけど……」


 ここで好きじゃないなんて言えない。

 普段の僕なら言ったかもしれないけど、流石に今はそんな事言えないよ。


 てゆーか、ちょっと待て!

 僕、そんなこといつ言った?


 フォンダンショコラなんて今まで食べたこと無いんですけど!?

 勿論名前は知ってるし、妹が好きなケーキの1つだからどんなものかは知ってる。


 知ってる、けど……。


「あの……僕、コレが好きなんて言いましたっけ?」


 恐る恐る口にすると、テーブルに頬杖を突いている俺様水野は、はあ、と溜息を吐いて「面接」と小さくぶっきらぼうに言った。


「お前、言っただろ。フォンダンショコラが好きだって」


 言ったかどうか、そんな記憶は曖昧だけど、好きなケーキを聞かれた憶えならある。

 それだけ答えて合格したんだ。

 なんて適当なんだろう、って思った事も憶えてる。


 ……っ、そうか!


 あの時、僕は──
 
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