同棲彼氏
ピピピピッ ピピピピッ



体温計の音が部屋に静かに鳴り響く。



「38.7℃・・・」

「ほら、熱あったじゃん!」

「・・・平熱だよ平熱!はははっ」



あんた、それで誤魔化(ごまか)してるつもり・・・?



「じゃあ真湖斗、病院行ってきなさい!」

「ヤダよ~!タクシー呼びたくないし、しんどいから車運転できない・・・。歩くなんてイヤだし・・・」



あ、本音言った。



ってか真湖斗、何かヘタレっぽいよ・・・。



一言で言えば弱虫!



「弱虫だと・・・?」

「はははっ!ははっ!」



勝手に人の心読まないで下さい・・・。



「じゃあ私が運転するから!」

「優美って免許持ってるの?」

「持ってるよー!」



まぁ、ペーパードライバーだけどね。



無免許ではない。



「じゃあ頼(たの)む・・・」

「はいよー!」



というわけで、私は車に乗って真湖斗を、私が働いていた病院に連れて行った。



「辞めて早々すいません・・・」

「噂の彼氏!?」

「まぁ・・・」



顔を合わせづらかったけど、この辺で一番近い病院だからしょうがない。



次に近い病院だと結構離れちゃうから、真湖斗に長時間車に乗ってもらうのもかわいそうだ。
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