あの娘


「枢、おーい」

ふと我に返ると結城が不思議そうに手を振っている。

「お前、今日1日なんかおかしくないか?ぼーっとしちゃって…熱でもあるのか?」

そういって結城が俺の額に手を当ててきた。

「別に熱なんかねえよ。」

俺はぺしっと手を叩くと結城は手をわざとらしくさする。

「悩み事か?」

「違う」

「あれか、恋の悩みとか?」

あまりにも図星だったため俺はぴくりと反応をしてしまった。

「え?図星かよ」

結城はケタケタと笑っている。

結城には隠し事は無理なようだ。半強制的に俺は自白させられた。

「ふーん。名前も知らない子が気になるのか。探してみれば?」

「探す?どうやって?」

「クラスを渡り歩く。」

「はい?!」

そういって結城は俺の腕を掴んで教室から引きずり出した。

これまた半強制的に。

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