汚レ唄


大嫌いだった。


蒼が生まれる前も、生まれてからもずっと……蒼は私のお母さんを奪った。



私のお母さんでもあるのに、

なのに、

お母さんは私よりも蒼ばっかり気にかけた。



赤ちゃんのときは仕方ないことだったのかもしれない。




だけど、４、５歳になってもキョウダイ喧嘩をすれば、いつだって私が怒られた。




「あんたはお姉さんだから」と呪文のように繰り返された。



好きで姉になったんじゃないのに。





私だって、できるならお兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しかった。


蒼みたいなわがままで甘えん坊な弟なんていらなかった。




蒼なんか大嫌い。


あゆみちゃんっていう女の子に「かっこ悪い」と言われて泣きながら帰ってくる事だってあった。



転んで泥んこになったときだって泣きじゃくってたし。


おもちゃが欲しいとねだってみたけど、買ってもらえなかった時だって泣いて泣いて泣いて。



お化け屋敷へいったら最初から最後まで泣いてたし。




とにかくその水分はどこからでてくるのかってくらいずっと泣いていた。
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表紙・目次

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