汚レ唄
ケースのジッパーを開け、ネックを掴んでギターを取り出す。
弦のチューニングを済ませ、弦を弾く。
それからはずっとギターを触っていた。
ぼろんぼろろんと、ちょっとギターらしくないギターの音色に合わせて歌を歌う。
ギターを買ってからは、まずはコードを覚えた。
徹底的にコードを覚えて、次に楽譜を買った。
コードを覚えたおかげで、楽譜にCとかEmなんてコードが出てきても弾けるし、慣れてきたら歌いながら弾く事だって出来る。
そのうち耳コピだって出来るようになってやる。
音楽って不思議で、1つ出来るようになると、今度はコレを出来るようになりたいって次々に目標が出てくる。
飽きることない音楽。
雅紀くんもこんな気持ちでピアノを弾いていたのかななんて思うと胸が熱くなっていく。
なにかに取り付かれたように引き続けるギター。
耳コピできるようになったら今度は自分で作曲なんてしてみたりして。
それで、もっともっと上手くなったら、君を追って外国に行くっていうのも悪くないかもしれないね。