スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
episode6*
・過去と救いの手
――「伊東くんっ」
放課後、
帰ろうとしていた彼を引き止める。
昨日みんなに話したように、
私はやっぱり稜佑の過去を知りたい。
少しびっくりした様子だった伊東くんは
私に向き合うと、
「稜佑のこと、だよね?」
私に小さく尋ねる。
「この間はああ言ったけど、
私やっぱりアイツのこと、知りたくて」
「うん、わかった。
本人はきっと話さないから。
俺が知ってるあいつとあいつの昔の話をするよ」
私たちは学校を出て、
学校から駅までの途中にあった公園に着くと
ベンチに腰掛ける。
「俺が稜佑と知り合ったのは幼稚園のとき。
俺らより先に母親同士がね、仲良くなったんだ。
それから俺と稜佑もよく遊ぶようになった。
稜佑の母親は、多忙な夫と裕福な家庭を持ちながら
とても気さくな人で、俺の母親も好いてた。
でもある時――」