微熱-関谷side-

……夢か?

夢だったのかと思ってしまうような、だけど、俺の額に貼られた妙な物体と、枕元に置いてある真新しい体温計を確認して、現実だったと思う。



まだ熱い体を起こして、もう気配のない、いつも通りの部屋を歩く。
冷蔵庫からミネラルウォーターが入っただけのボトルを出して、体に注げば、幾らか頭が冴えてきた。




『これ、飲め』

テーブルで見つけたのは殴り書きでそう書かれていた一枚の紙と風邪薬。




…っとに、あいつ。





その紙を見て小さく笑いながら、どうみてもこざっぱりしているだけの部屋を軽く見渡して息を吐いた。


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