翼の合言葉

ありがとう


 『たくとぉ。遊ぼうよぉ?』
 え…。私よろい数百倍…いや数億倍の可愛い子がたくとに話しかける。
 『無理だから。俺、用事あるし。』
 たくとの声。超懐かしい…。
 用事って?女の事?
 余計不安になっちゃう。
 『えぇー?またぁ?ゆりと遊ぼうよぉ。』
 思い出した。
 この人は、影山優梨。
 モデルみたいにかわいいが超ぶりっこ。
 女子からは嫌われている。
 『無理だから。』
 たくとは、きっぱり断ってどこかへ行く。
 『ねぇ、たくと!本宮藍弥さんは、死んでしまったんでしょ?なら、本宮さんの事どうでもいいじゃん。』
  この言葉でたくとはとまる。
 『本宮さんはたくとと遊ぶ前に、男性と会っていたところを目撃しているのよ?』
 あってないよ。
 真っ赤な嘘だし。それ!
 たくと、気付いてよ。
 『あやは、そんなコトしない。ゆり。もう俺に関わらないでくれ…。』
 たくと…。やっぱり優しいね。
 『たくと?嘘でしょ?ゆりのほうが本宮さんより数倍いいじゃない。』
 確かにそうだよ。
 『あやのかわりは居ないんだよ…。』
 たくと…。
 涙が出てきちゃうよ。
 本当にありがとう…。
 『え…。もう、たくとなんか知らないんだからね!それでもいいの?』
 『ああ。俺にはあやがいるから。』
 私の頬になみだがつたる。
 たくと…嬉しいよ。
 でも、ねぇたくと?
 貴方は幸せだったのかしら?
 私の声、たくとに届くのかな…。
 『…たくと。私は幸せでした。貴方は幸せですか?幸せでしたか?』
 たくとは空を向く。
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