君に恋を、チョコに愛を。
Prologue



10年前までは、私も健気にチョコレートを作って渡していたっけ。



『はいパパ、ハッピーバレンタイン!』

『わぁ…ありがとう美和。嬉しいよ』


2月14日。
女の子から男の子へ気持ちを送る一年に一度の素敵な日。


毎年ママと簡単なチョコ作りをしてパパに渡してた。


頬を緩まして目を細めるパパはいつも頭を撫でてくれた。そんな優しいパパが大好きだった。



『祐輔くんにも渡しに行くの?』

『うんっ行くーっ』


返事をするとママは微笑んで私にマフラーを巻いて、一緒に祐輔ん家まで来てくれたよね。



『あら美和ちゃん、いらっしゃい』

『こんにちは!』

『ふふっ元気ね!どうぞ上がって』


ご近所で幼稚園が一緒の祐輔とは幼なじみだった。

同じ名字で歳も変わらなくて、幼稚園以外周りに友達がいなかった私と祐輔はよく遊んでたね。


土日は飽きずにお互いの家に行き来して、公園にもよく行った。
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