あなたの腕まで、あと何センチ?

お風呂からあがると、いい匂いがした。

凌がつくるフレンチトーストに香り。

そして、ほうれん草のソテーにウインナーに、ミネストローネ。

それから、カフェオレ。

『おはよ。響、できたよ。』

いつもとかわらない笑顔。

『あ…。おはよ。』

『今日、何限から?』

『…2限から。』

『俺と一緒だ。学校、一緒に行こ?』

『うん。』

いつものように、朝食を食べてから、凌のアパートに手をつないで向かう。私のアパートから歩いて10分。そして凌が用意している間、簡単に部屋の中を片付ける。

部屋には、入った形跡はない。

いつもの香り。

少しだけ、ホッとした。

じゃあ、先輩の部屋?

また、ぐるぐる考えてしまう。

『用意できたー行くぞー。』

我に返り、『うん。』と返事をする。

それから、また手をつないで学校に行き、掲示板で別れた。
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