徘徊者
まだ日の昇っていない早朝5時前

私は職場の前で不思議な光景を目にする

足元でダンゴムシがひとりでにひっくり返りたくさんある足をジタバタと動かしもがく様子だ

「どうしちゃったんですか?」

小声で変じゃないですかと付けたしながら私はしゃがみ込みそのダンゴムシを木陰に放してやった

もそもそと動くダンゴムシは足が悪いようでどうにもバランスが悪かった

「後はひとりで頑張ってください?」

内心ひやひやしながら再び視線を上げると施設の西側から太陽が昇ってきているところだった

光の射すそこは何故だか神々しく感じられ、私はずれかけた鞄を肩までかけ直した

ずっと憧れていた仕事

まだ見ぬ利用者さんとの出会い

私は今日、ここから、大切なものを築いていく

…といいな
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