桜、月夜、愛おもい。



「ただい…」

「奈津っ!どこ行ってたのよー!」


家に帰ると、興奮気味のお母さんに迎えられた。


「もう!どこか行くならちゃんと言わなきゃ!心配するでしょう!」


あの事件から、お母さんは変わったと思う。

精神的にもそうだけど、外見も若々しくなった気がするし。前よりずっとキラキラしてる。


「ん?どうしたの?」


変わったなぁ…。なんて思いながら見つめていると、お母さんは首を傾げて尋ねる。



「ううん。何でもない」


私はにっこり笑って、家の中に入った。



「奈津お帰りーっ」


リビングに入ると、何故かハイテンションな咲菜に手を振られた。

ていうかどうして手を振る?



「まだいたの」

「当たり前でしょ!泊まるって言ったじゃん」

「そうだった?」


そう言う私に、「酷…」とたいして傷ついた様子もなく言う咲菜。

私は気にせず二階に上がった。



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