桜、月夜、愛おもい。



数十分して、私は電気を消してベッドに潜り込んだ。

自分の体温で温まる布団の中で、だんだんと意識が遠のいていくのを感じる。


眠るのが恐い。

でも、あと数分もしない内に、私は夢の中にとんでしまうだろう。


そう思うと、最後にどうしてか月を見たくなった。


重い瞼をゆっくりと開けて、窓に目を向ける。



閉まったカーテンの隙間から、淡い黄色が見えた。


それを見た途端、私は我慢が出来なくなって目を閉じた。





「……り、お…」





遠ざかっていく意識の中、自分の唇が薄く開いて言葉を発したように思ったけど、よくは分からなかった。





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