桜、月夜、愛おもい。



リビングはいつもよりずっとグチャグチャだった。


お酒が床を水浸しにしていて、ガラスが飛び散っている。

棚の食器は無事だったものの、出しっ放しだった食器は一つ残らず割られていた。



「…酷い」



今日は荒れているという予想は、当たっていたらしい。



でも帰った時は機嫌は直ってて、私は殴られなかった。
それでいいじゃない?

身体のアザを気にする必要がない。
それでいいじゃない?


そう思おうとしても、胸のモヤモヤは拭えない。

むしろ酷くなっているように思える。



何を悩んでいるんだろう?

私はいったい何を心配しているの?



「……私は…何を…」



そう呟いた時、私は机の上に真っ白いものを見つけた。



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