Bitter Sweet Kiss
ガサゴソッ

葉っぱの擦れる音に、慌てて後ろを向いた。


するとそこには……夜の闇に浮かびあがった人の影。

目を凝らしてみるけど、よく見えない。

誰 ――?

数百メートル先には駅があって、そこから先は灯りでいっぱいなのに。この辺りは街灯も人通りも少ない。

ゆっくりとこっちへ向かって歩いてくる影に、恐怖心が芽生える。

恐くて立ちあがることもできず膝を抱えながら身構えると、目線を合わせるように屈んで声をかけられた。


「こんなとこでなにやってんの?」
< 123 / 351 >

この作品をシェア

pagetop