Bitter Sweet Kiss
アイスティーをテーブルの上にコトリと置いたキョウコちゃん。


「あのねカイちゃん、話があるんだけど」

ニコニコしながらオレの前に座る。


その表情を見て

「話ってそんないいことなの?」

と尋ねると、うんと大きく頷いてから続けた。


「ママにはとてもいい話よ。カイちゃんにとっても、そうならいいんだけど」

遠慮がちに、だけどうれしさを隠しきれないって感じでそう言った。


オレは、この女(ひと)の笑ってる顔が好きだ。ふんわりと綿花が咲いたみたいな、やわらかな笑顔が。

泣いてるとこなんてできれば見たくない。

だからガキの頃から努めてきたんだ。なるだけキョウコちゃんを悲しませないようにって。
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