Bitter Sweet Kiss
「ごちそうさまでした」


軽く頭を下げ、だけどやっぱり目を逸らしたままオレは背中を向けた。


そのまま出ていこうと片足を踏みだしたその時、

「もう忘れてしまったかな?」

望月の落ちついた声がして、なんとなく振り向いた。


「さっき来る途中の店に並んでいるのを外から見かけてね。思わず買ってしまったよ」


テーブルの上に視線を動かす。


「君に会うんだと思ったら、つい懐かしくてね」


白いテーブルクロスの上、赤い紙に包まれたそれをオレも久しぶりに見た気がする。
まだ開けてもいないのに、甘く優しいあのにおいが鼻をかすめた気がした。

それにしても、どうしてアンタが懐かしいなんて言うんだよ? なんでそれを持ってんの?
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