Bitter Sweet Kiss
「夢をみたんだ」

「まぁ、どんな?」


説教モードを崩し、いつもの穏やかな表情に戻ったキョウコちゃんに教えてあげた。さっきまで見てた夢の話を。


それは、幼かった頃の小さな思い出と同じ景色。

ストロベリーロード ―― 
あの場所に幼い少女が立っていた。

あの日と同じように、差しだされた手の平には赤いイチゴ。
『どうぞ』と言われ、顔をあげたオレの前には……

……ミトがいた。

さっきまでいた4、5才くらいの女の子はいなくて。何故だかわかんないけど、そこにいたのはミトだったんだ。

戸惑いながら恥ずかしそうにオレを見あげた彼女。

そして、その小さな肩に手を伸ばそうとした時、目が覚めた。
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