峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸…峰岸…。


教室の隅、男友達とふざけて、プロレス技をかけている峰岸。


ねぇ、峰岸?



あたし…何にも聞いていないよ?









昼休みの屋上、あたしは一人、階段を登る。


峰岸は、きっと居る。


屋上のドアを開けた。


峰岸……見つけた。




峰岸は、また空を見上げてる。

屋上の地面に座り込んでいる峰岸。



夏の入道雲が、真っ白い綿飴みたいな山を重ねるその隙間から、峰岸はまた、宇宙を見てるんだ。



あたしには、見えない宇宙………。


峰岸にしか、見えない宇宙……。



「あ、永山」



あたしに気付いた。




峰岸は知らない。


こうして宇宙へ手を伸ばしている峰岸が、あたしに気付く瞬間。


どうしようも無いくらいに、嬉しくなるあたしの事を。



「また、空見てたんだ?」


峰岸の隣に座り、一緒に空を見上げる。

「永山も見に来たの?」

「……うん」


ホントは、違う。


けど……………。



「ねぇ、峰岸」

「何?」

「どの辺が宇宙なの?」

「どの辺…って」


峰岸は頭を掻く。


…峰岸。


峰岸が見ている宇宙は、どこ?
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